EQとコンプについて説明する予定でしたが、 思ったより難しい話になりそうですので、 予定を変更して、まず先にマスタリングの手順について説明します。

フェーダーやエフェクトをいじりまくって、自分ごのみのバランスになったでしょうか?
ではミックスを完了してこれらを1本のファイルに落とす作業を行います。 ミックスダウンです。
メニューから「レンダリング」を選択します。

「ファイルへレンダリング」ウィンドウが出ました。
「参照」ボタンを押し、出力ファイル名を指定します。 そしてWAVビット深度を「16bit」に設定してください。これ、忘れがちです。 最後に「レンダリング」ボタンを押します。
REAPERは閉じずに、 先ほど出力したWAVファイルをメディアプレイヤーやWinampなどで再生してみましょう。 自分だけのオリジナルミックスができました!!
……でも、市販曲と比べるとなんか音が小さくてしょぼい……
なので、次は音をデカくしてみましょう。マスタリングに入ります。
マスタリングとは、「仕上げ」のことです。 厳密に言うと、 プレスCDを制作する際にすべてのコピー元(=マスター)となるスタンパーを制作する作業を マスタリングといいます。 さらにその元になる音楽データを作成することをプリマスタリングと言います。 が、CD制作を前提としない場合、たとえばネットでMP3で公開する場合は MP3に変換する直前のオーディオデータがすなわちマスターですから、 これを作ること自体がマスタリングになりますよね。 まぁそのへん突き詰めると混乱しそうですので この講座では、 曲として完成された状態に「仕上げる」作業をマスタリングと呼ぶことにします。 マスタリングの作業としては、以下のようなものがあります。
曲全体の音量を可能な限りデカくすることです。 それ専用のエフェクトにリミッターとかマキシマイザーというものがあります。
パソコンなどのデジタル音響機器では、構造的に0db以上の大きさの音を出すことはできません。 また、音楽は大きい音と小さい音が非常に細かい単位で切り替わりつつ、 様々な音の重なりを表現していますので、 常にMAXな音が出ている訳ではありません。
ここで、リミッターやマキシマイザーを使い、 曲の中の大きすぎる音を押さえ、音量をある程度均一化したのち、 全体を持ち上げることで、曲の平均的な音の大きさをあげることができます。
ちなみに、リミッターやマキシマイザは 後ほど登場してくる「コンプ」と全く同じ仕組みを持っています。[なぜ音をでかくする必要があるの?] …… 「そのほうがうまく聞こえるから」です。 さらに言うなら、「音がデカいのが今の流行りだから」です。
ここで商業的な話をしていまいますと、 毎日、いろんなアーティストがシングル曲を出してますね? そして毎週ランキングもあります。 ほかのライバルたちを押しのけてトップに立つには、 ほかの曲より少しでも目立たなければなりません。 目立つ方法としてもっともシンプルな方法は、音をデカくすることです。 後述しますが「多少音質を犠牲にしてでも」音はデカくしておいて損はないのです。 ですので、日常生活には、その道のプロが限界まで音をデカく調整した曲が 巷にあふれかえっています。
さて、そんな曲に耳がすっかり慣れてしまっている我々が、 全くマキシマイズされていない曲を聞いてみると、間違いなく「しょぼい」と感じるはずです。 シンセとかのチープな音を使っている曲だとなおさらです。 これは、あなたがそれを好きか嫌いかに関係なく、世間的な流れなんですから仕方がありません。
全く個人的に、自分だけが好きな音楽を追究するのみというならそんなものは気にする必要はないのですが、 音楽とは人に聴いてもらってなんぼなんですから、 少しでも相手に聞いてもらいやすい努力をするべきです。 そのために、マキシマイズという手順は必要なのです。
※注・誤解のないように補足しますが、マキシマイズをしなくても十分鑑賞に堪える音というものは ちゃんと存在します。最たる例が生オーケストラです。クラシック音楽のCDはやたら音が小さいと 感じると思いますが、あれは派手さよりも音質を重視した結果なのです。
イコライザーの略です。 「音」は「波」からできている事はご存じでしょう。 普段聞こえる何気ない音にも実に様々な波が重なり合ってできています。 すなわち、低い音と高い音、いろんな高さの音が混ざって鳴っているのです。 EQは、その「音」からそのある高さの波を取り出し、そこだけ大きくしたり小さくしたのち、 元の音に戻すという機能を持っています。 これによって音をミックスしやすいようにととのえたり、 あるいは曲を聴きやすくしたり迫力を出したりします。 カーオーディオやコンポとかによくついてるので見たことあるんではないでしょうか? Windows Media PlayerやWinampにもついてますね。
EQには大きくわけて2週類あります。グラフィックイコライザとパラメトリックイコライザです。

MixerにMASTERとかかれたトラックがあると思います。 これはマスタートラックです。第2回でちょっと触れましたが、 マスタートラックとは、「すべてのトラックがミックスされた状態を示すトラック」です。
ここにエフェクトを追加します。

リミッターが追加されました。
いきなりですが、再生する前に(可能であれば)ヘッドフォンの音量を絞っておいてください! 予想外にデカい音が鳴ります!
このエフェクトはツマミがひとつしかないので単純明快です、 これを左にねじっていけば音がでかくなります。 すこ~しずつねじっていきましょう。
が、ある程度いったところであまり効果がなくなり、 さらにねじると曲全体が波打つような感じになってきます。 そこらへんが潮時です、それ以上ねじるのはやめておきましょう。
市販の曲と同じくらいの音圧を得るには、曲調にもよりますがこの曲のような感じですと -10~-12くらいはまではねじる必要がありそうです。
さて、音圧があがったのはいいのですが、 せっかくミックスした音量バランスが崩れたのはわかりましたでしょうか? 試しに、マスタートラックのボリュームフェーダーを下げ、 リミッターをかける前と同じくらいの大きさに聞こえるようにしてみてください。
リミッターをかけると、曲の低音部が強調されて聞こえます。 深くかければかけるほど目立ちます。 え、聞こえない? ……良いヘッドフォンかモニタースピカーで聴いてみましょうw これはこれで味として残しておくのもアリではありますが、 せっかくいい感じに仕上がった曲のバランスが最後の最後で変化させられてしまうのは 本望ではありません。 これを解決するにはいくつかの方法があります。
私がよくやるのは1ですw。私はよくリミッターかけっぱなしでミックス作業を行います。 しかしこの方法は、最終的な音圧をどれくらいにするかが最初から決まっているケースのみにしか通用しません。
たとえば、複数人が曲を持ち寄ってコンピレーションアルバムを作る場合はどうでしょうか? アルバムの中で曲の音圧がまちまちだったりすると聴いてるほうは非常に疲れるので (でも実際よくあるよねコレ)、 各自はマキシマイズしていない状態のデータを提出して、 それを元に誰かが一括して音圧を揃える作業をする必要があります。 この場合、どれくらいの音圧に調整されるのか予測できません。
そこで、ミックス済みのデータに、あとから低音を押さえる作業を行う必要があります。 EQの登場です。

EQが追加されました。 今回追加した Classic EQ はグラフィック・イコライザです。 見ての通り、周波数ごとにフェーダーが並んでいます。
曲を流しながら、各フェーダーを上げ下げしてみましょう。 左半分はステレオのL(左)チャンネル、右半分はR(右)チャンネルを調整できますが、 標準状態ではふたつはリンクしています(右のLINKボタンで切り替えができます)。 まぁ、左右のチャンネルで違う設定をする機会はあまりないように思いますが…
ここで各周波数の目安を書いておきます。 ちなみに「k」とは「キロ」のことで1000を意味します。2kは「2000Hz」の意味ですね。
たとえば、ボーカルが聞こえにくいなーと思ったら、2kのフェーダーと6.3kのフェーダーをあげてみてください。 よりはっきり聞こえるようになると思います。
マキシマイズしたことで強調された低音を補正するには、200以下のフェーダを2~3目盛りくらい? 下げてみましょう。 ほかにもスッキリ感を出したかったら200を下げたり20kをあげたりしても良いです。ただし、 エフェクターの順番がリミッター→EQ(エフェクトのリスト上でリミッターが上、EQが下に来ている) の時に安易にフェーダーを上げると音が割れますので、リストをドラッグしてEQを上に移動しておきましょう。
自分好みの音に仕上がったら、再びミックスダウンします。 メニューの「ファイル」→「レンダリング」でレンダリングして終了です。 ビット深度を16bitにするのもお忘れなく。
曲の前後のフェードアウトの調整や、余白の調整なども本来行うべきですが、 新しくオーディオ編集ソフトをインストールしたり説明したりするのが面倒なので とりあえずこれで完成とします!! (余裕があれば各自調べて導入してみてね)
今度こそ世界にただ一つ、あなただけのミックスが完成しました!! できあがったWAVをmp3に変換してiPodなどに入れて持ち歩いたりすることもできます! お疲れ様でした。
次回から、いよいよ初音ミクを起動します!!